「ありさ…。
少し時間有るか?
久しぶりに話さないか?」


「少しだけなら…
いいよ?」


疲れたのか、太一がスヤスヤと眠る。


「太一……、おぶってやるよ。」

荻野さんがしゃがみ込んで、おんぶの姿勢をした。


「有難う…。」


眠る太一を、荻野さんの背中へ……。


「なあ…何で、あの日俺に黙ってフランスに行った?」


「え……。」


「何で、黙って消える必要が有った?」