「嫌いになってないよ?
ただ…愛せなくなっちゃったの……。」

「あの、片思いの男がいいって言うのかよ!?」


「ごめんなさい…。やっぱり、捨てきれない!
荻野さんは……私の総てなの。

あの人がいるから、私は心から笑える。幸せだと言えるの…。

身勝手だって責めてくれていい……。

最低の女だって、詰ってくれていい…。
それでも、私は…
あの人じゃなきゃ駄目なの……。」


「笑っちゃうよな、ありさは。
バカ正直で、真っ直ぐでさ?」


「修司…?」


「行けよ!
アイツの所に…。
もう、邪魔しないからさ?」

「修司…。」


「幸せになれ!」

修司の目は、さっきまでとは違い、安らぎを帯びていた。