一瞬触れた手。「すみません。」そう言って慌てて手を引っ込めて、相手を見た。隣にいたサラリーマン風の男は何と、あの、荻野さんだった。あまりの偶然にポカン口開けて、突っ立っていると「あぁ、笹峰さん。こんばんは。偶然ですね。」 ニコリと笑いかけてきた。 「あ…。荻野…さん。こんばんは…。」荻野さんの格好をよく見ると、サラリーマンというには程遠く、まるで……ホスト!? 最初に見た時とは全然違い、サラサラヘアーをワックスで後ろに流し、黒のスーツに青のブラウスにネクタイだ。