抱きしめてくれた腕が、緩くなり体が自由になった。

今度は、私が中井君を抱きしめた。

ギュッて力込めて、何処かへ行ってしまわない様に…。

「ありさ…いいの?それで。」

「嬉しいから…。
抱いてくれたら私、凄い嬉しいから…」
「分かった…。」

中井君を見た。

視線を逸らさずに、ただ…真っ直ぐに。
荻野さんを忘れたいからじゃないよ?

ホントに、中井君に抱かれたい…。

私の初めてを全部、受け取ってね?

私が中井君を好きだって気持ちを、全部あげるから…。