「ここに来るの……勇気が必要だったでしょ? 来てくれてありがとう」



優しい口調で話し掛ける彼女の柔らかな雰囲気に、緊張の糸が切れたのか花ちゃんは泣きながら思っていたことを口にし始めた。



「わ……私は心が羨ましかった。みんなから好かれて幸せそうな心が……何ひとつ嫌な部分がない心が羨ましかった」


「私は花が羨ましかったよ。ねぇ覚えてる? 初めて花が私に話し掛けてきてくれたの」



そう言って涙をハンカチで拭いてあげる彼女。



「二年生のクラス替えで私は仲のいい友達と離れちゃって、知ってる人もいなくて、一人不安になって机に座っている私に声をかけてきてくれたのが花だったんだよ?」