首に腕がまわされてギュッと顔を引き寄せられて、距離が縮まる。
驚いたのも束の間……ゆっくりと顔を近付けてきて目を閉じる彼女。
月明かりの下、二人の影が重なる。触れるか触れないかくらいの一瞬のキス――
二度目のキスは彼女のほうからだった。
「……ね? 好きな人から急に近付いてこられたら動けないでしょ?」
「ぷっ……ファーストキスの仕返し?」
「うん。嬉しかったから後悔してないけど」
そう言っていつの間にか自然と頬を伝う涙を彼女は指で拭いてくれた。
何で泣いているのか理由も聞かずに、優しく触れてきてくれて……