白地に紫の花柄の入った浴衣を着た彼女は、いつも以上に可愛くて……



浴衣の袖からのびた細くて白い腕の先に握られたシャボン玉を作り出すストローさえ綺麗に見えた。




「本当はねギリギリまで悩んでたんだ。今日ここに来るか」


「え?」


「忘れる為には話さないのが一番だと思ったから。だから陽と花火大会に出かけたのに……」



月を見上げていた彼女は俯いて小さくため息をついた。



「愛斗くんとさっき会ってダメだと思った」



さっき?花火大会の会場でのこと?



「陽に本気で好きだって……絶対に大切にするって言われてもダメだった……そんな嬉しい言葉よりも愛斗くんと会っただけでドキドキした」