虹色のシャボン玉は次々と生まれてきて、真っ暗な空へと消えていく。



そしてひとつの小さなシャボン玉が頬に触れて割れた瞬間、俺の目に飛び込んできたのは――……




髪を左サイドで結った浴衣姿の女の子


境内の裏に座って


月明かりの下でシャボン玉を作り出している





「……心……ちゃん……?」






幻かと思うくらい綺麗で


幻想的で……


だけど幻じゃなかった。



彼女は俺に気付くと、持っていたストローを唇から離して優しく笑った。




「……待ってた」