いや俺…連絡係がいいな……。



「あの…俺さ、こういうのどう言ったらいいのかわからないけど…」


「あっ、何かある?良かったら気がついた事言って欲しいし」


(一応やる気はあるみたいだな)


「じゃあ言うね。えーと、歌詞はまず覚えた方が…やりやすいのでは…ない?」

「いきなり痛い所を突いてきた…」



武蔵はため息をついて階段にうずくまってしまった。


(まずい…ヤバいかな?)



「あっと…ごめんなさい」


とりあえず一応謝っておく。





「いや、大丈夫。俺さ駄目なんだよねーなかなか歌詞覚えられなくってさ、やっと覚えたらと思ったら声は小さくなるし、動作やリズムは鈍るしでわけわからなくなるんだよね」


「んー、俺みたいな全然音楽とかわかんない奴が言ってもしょうがないんだけどさ、もし良かったら練習付き合おうか?」


「マジで!本当に?あ…ありがとう」



何か…心にも無いことを言ったかもしれない。

でも、なんかこうデカい体してる癖に小さくなってる武蔵を見てみぬフリが出来なかった。

普段ならこんな奴無視してる。
多分一生話す事なんてないと思う。


自分でもわからないけど、ただのマネージャーとしての点数稼ぎからきたのかもしれないけども…。


とりあえず付き合う事にした。



「まあ、とりあえずはさランクの低いライブのオーディションには絶対落ちない事。こっちも一応死活問題なんで…」


(一応コイツには重大な問題だという事は自覚させておいてもいいだろ)


「ごめん、そうだよな…後藤君も俺のせいでクビになったら申し訳ないし」


「ごめん、そうだよな…後藤君も俺のせいでクビになったら申し訳ないし」


「ごめん、まだ今日会ったばっかりなのにこんな事言って」

(そしてフォローも忘れずにっと…)




こうして俺と武蔵の最初の二人三脚がスタートした。