一度だけ、事務所の移籍組である『ふくふく』というデュオの片割れ、福山准一に負けてしまった。


プライドがかなり高い真輝はそれだけで准一を敵視しまくり、嫌がらせもするようになった。




真輝は変わってしまった。


そう思う。


一番近くにいる俺がそう思うのだからやはり変わったんだろう。



昔あった素直さがすっかり消えてしまった。


人と上手く接するのが出来ないのは相変わらずだけど、つまらない事で喧嘩っぱやくなった。


そして俺の前ではもう殆ど笑わなくなった。


一緒にいるのは仕事の時と打ち合わせや曲作りの時だけ。




でもね昔に比べたら大分売れるようになった。
真輝のおかげだ。


だから一緒にいれなくて悲しいとか寂しいとか贅沢な事言ったらバチが当たる。








ここだけの話ね。





俺は真輝の事大好きだ。



恋愛は男だけってがっちり決めてた訳ないじゃないけど、女の子と付き合うのはあまり考えられなかった。



若い頃はやっぱりゲイなのかなと悩んだ頃もあった。

でも真輝と出会ってやっぱりゲイでもいいと確信した。



真輝に気持ちを打ち明けたのは3年目の春。



真輝はびっくりした顔をするかと思ったら、案外俺の気持ちはわかってくれたらしい。



お前が好きなら俺は応えるけど、でも「恋人」には出来ないよ。と言われた。



それでも良かった。


体だけの関係でも何でも良かった。



最悪、真輝の傍に音楽を通してずっといられればいいって思った。




でもね、それさえ今はなくなってしまった。




真輝が何を考えてるのかさっぱりわからない。



他に好きな奴いるんだろうね。



例えば……薫ちゃんとか。