美綺は食べる手を止めてそう言った。



「ああ」



「流二一人の体じゃないんだからね」



「……分かってる」



「ならいいの。ごめんなさい。余計なこと言って…」



「美綺が謝ることじゃねーって。確かに美綺の言う通りだし」



俺はそう言うと、苦笑いした。



「……うん。お願いだから、無理だけはしないでね」



美綺はそう言うと、曇った表情で笑った。



「……ああ」



でもそこからは無言になり、気まずい空気が流れる。



沈黙が唯一、雰囲気を保っていた。



でも俺の箸は一向に進まず、結局あんまり食べることなく夕食を終えた。


―――――…



部屋に戻った俺は風呂に入り、眠りにつくことにした。



―――――…



風呂から出た俺は、すぐにベッドに潜った。



案外一分もしないうちに眠りについた。



―――――…



目が覚めたのは7時半頃。いつもよりちょっと遅い。



俺はベッドから起き上がり服を着替えると、顔を洗いリビングに行った。


「おはようございます。お坊ちゃま」



リビングに行くと、白木が居た。



「おはよ。美綺は?」



「美綺様なら、まだお部屋かと思いますが」



「分かった。ありがと」


「いえ。朝食の準備が出来ましたらお呼びいたします」



「ああ」



俺はリビングを出て部屋に戻り、美綺の部屋の扉を開けた。



ガチャ



「美綺?起きてるか?」


俺はそう言うと、部屋を覗いた。



案の定、美綺は寝ていた


俺は部屋に入り、美綺の様子を伺った。



「……りゅ……じ…」



「なんだ。……寝言か」


俺は美綺にきちんと布団を掛けた。



「んー……行か……ない、で…」



……ん?行かないで?



今のは……寝言か?



俺は部屋を出ようとしていた足を止めて、美綺の方に振り返った。



そして美綺の方に近寄った。