衛はパトカーにエリザベートを乗せ、朝のマクドナルドに入った。
「そういえば自己紹介がまだでしたね。俺は知念衛。見てのとおり警察官です」
「・・・エリザベート飯沼です」
満面の笑みの衛と対照的に、エリザベートは(このような場所で取調べを受けるとは・・・)と、予想外の状況に戸惑いながらチーズバーガーを頬張った。
「エリザベート、素敵な名前だ!君はなぜ、こんな朝早くから?」
「ヤクを・・・いえッ!お薬を買いに、街に出たのです!」
「薬を?どこか、具合が悪いのかい?」
衛の言葉から最初の堅苦しさが抜けていく。悪く言えば慣れ慣れしいのだが、彼の持つ愛嬌が、エリザベートにそうとは感じさせなかった。
「ええ・・・体が、弱くて・・・」
(なるほど、たしかに病弱そうだ・・・色白だし、こんなに綺麗な顔なのに、目の下にクマができてしまっている)
守ってあげたい、衛はそう思った。
二人がバーガーを食べ終え、ポテトをボリボリ食べ始めたころ、衛の携帯電話が鳴った。
『おい、どこにいる・・・そうか。さっき、○○町で発砲事件だ。けが人も出ているらしい。すぐに現場に向かってくれ』
電話の向こうで、上司が守るに指示した。