「落ち着くんだ、みな。何が起こるかはわからんが、我々はそれから逃げなければならない。この祠の裏に、大きな洞穴がある。そこに隠れて、何かが通り過ぎるのを待つのじゃ。・・・子狐」
タヌキに呼ばれ、子狐はハッとした。
この尋常ではない事態に、自分がなんらかのかたちで関わろうとしている。それも、ある役目を持って、関わろうとしている。
子狐の小さな体は不安でいっぱいだった。
「子狐。お前はここで、何が起こるか見張っているのだ。ワシは洞窟の入り口にいるから、何かあったらすぐに知らせるのだ。・・・恐れることはない。お前は、シャワーヘッドという謎の言葉をワシらにもたらした。きっと、特別な運命を、山の神様からさずかっているのじゃろう」
子狐は怯えた目でタヌキを見ながら、
「わかりました。ぼく、見張ります」
とかわいらしい声で答えた。