その日あたしは実家に泊まることになった。 悪阻がひどいから、卒業を待たずに実家に戻ってくることも両親と決めた。 それにもう、あのマンションは必要ないから……。 海里はもう二度と来ない。 あの部屋には思い出がたくさんありすぎて、1人でいると海里が恋しくなる。 もうこの想いとは決別しなければ。 そんなことを思っていると、突然部屋のドアがノックされた。 「どうぞ」 ガチャ 「……え」 ドアの先にいたのは颯斗さんだった。