奴の微笑みは武器だ。
あれを使えば何人の女性を落とせるだろうか。
残念ながら奴は最善の使い方を理解してないようだ。
「本当に残念ね」
「本当だよ。大好きな豆乳蒸しパンは入ってなかったんだ」
真剣な顔で言う永浜悠を見て、反論する気もなくなった。
「それは残念」
「何を笑ってるんだい?」
「あははッ、なんでもない」
「あのー?あたしのこと、忘れてない?」
「「あ、忘れてた…」」
麻那は頬を膨らませた。
「じゃあたしは先帰るね?バイバーイ」
「じゃ俺達も帰りますか」
二人だけの帰り道。
手を繋ぐこともなく、ただ雑談をする。
私は今、幸せ。