ふと背後に気配を感じる。
「あ、永浜君」
振り返るとそこには大量の菓子パンを持った永浜悠がいた。
「パン、いらない?」
永浜悠は困ったような表情を浮かべている。
「どうしたの?そのパン」
「なんか購買のおばちゃんに捕まっちゃって…余ったから、ってもらった。」
この男はおばちゃんにどんなサービスをしたのだろうか。
この天然系王子キャラは年齢を問わず、女性の心を鷲掴みにするらしい。
人生において、最大の武器を授かったな。
「ただパンを一個買いに行ったら、おばちゃんが小銭を落としちゃって拾うの手伝っただけなんだけどな」
「まぁありがたく貰っておけば?しばらく空腹には困らないし」
そうだね、と言ってパンを鞄に詰める。
どうせ小銭を拾ったとき、気を付けてねとか言って微笑みかけたんだろう。