しばらくそのままで、綺羅の落ち着くのを待った。



「麻那…私、汚れちゃったぁ…」



だいぶ泪も止まった綺羅が言った。



「私、中村に助けてもらった。すごく感謝した。やっと平和な学校生活ができるって。でもね?中村は見返りを求めてきた。」


「見返り?」


「うん、身体…」



あたしは寒気がした。


「私…断れなくて、逃げられなくて…怖くて…」


綺羅の目から再び泪があふれてきた。


「麻那、私っ…」


「もう良いよ!綺羅が無事で良かった。今日は好きなだけ泣きな?ずっとそばにいるから…」


それから綺羅の泪はとめどなく流れてきて、あたしの服にしみこんでゆく。




あたしはまだ知らなかった。



この先、綺羅のみに起こることを。