母ちゃんは心なしか、目が腫れていた。
沢山泣いたんだ。
「俺、悠に逢いに行ってくるよ」
母ちゃんの泪を見て決めた。
ここに来たって事は、父ちゃんの家庭はもうここにしかない。
父ちゃんは今まで母ちゃんに辛い思いや苦しい思いを沢山させてきたと想う。
だから、これからはそれ以上の幸せを母ちゃんにあげなきゃいけない。
そのためには、ちょっと俺は邪魔かなって想った。
浮気というスリルを楽しんでいたあの頃に戻って、やり直す必要があると想うんだ。
まぁ、本当の奥さんには悪いと想うけど…
「陸、ありがとう」
全くしょうがない奴だな、父ちゃんは。
「しばらく二人で暮らしなよ。俺は向こうに住むから」
父ちゃんは絶対一人では生きていけない。
なんで?って、見れば解るよ。