俺の住んでいるところは、猫が沢山住んでいる。
むしろ、人間より猫の方が多いくらいだ。
だから俺の友達はみんな猫。
学校の数人のクラスメイトより、一緒にいて落ち着く。
俺は人間が好きじゃない。
こんなど田舎。
俺のふるさと。
俺の育った村。
そんな村にある日、父ちゃんが来た。
黒のスーツ、革靴。
その目からは、なんだか生気が感じられなかった。
少し伸びた無精髭、くたびれた髪の毛。
「こんなにおっきくなったか」
見て一瞬で解った。
「父ちゃん…?」
写真の中でしか見たことの無かったあの人が、今目の前に立っていた。