「だったとしても!」


 美幸さんは見ました。
 そう言って息を弾ませるユイの瞳の内に、夕陽が灯り、あたかも“太陽”のようになる様を。


 (“太陽…竜”…?)
 美幸さんは無意識にユイの中に“竜”を見出そうとしていたのです。

 しかもその“竜”とは、“憎悪の化身”としてではなく、“友愛の調停者”としてです。


 「だったとしても、私には美幸がいるじゃん! 美幸には私がいるし!」


 (ユイさんは…太陽竜…)


 「私思ったんだよ」


 (またの名は…)


 「さっき、美幸が体育館の扉に寄りかかって、私を笑ってたとき、ふと思ったんだ」


 (太陽竜のまたの名は…)


 「人間、 完全に分かり合うのはムリとかって言うじゃない? じゃあ逆に 完全に分かり合えないって事もないんだ、って!」


 (またの名は『イグニス』…!!)


 「100%が無いなら、0%も無いの…! いい、美幸!」 ユイは、より一層、美幸さんの肩を強く掴みます。
 「“私は0.001%でも優しさがあるこの世界になら、生きてゆける”!」