「でもね、怖がることはあっても、塞ぎ込んだりはしないよ、私は!」

 「どうして…?」
 美幸さんはユイの視線から逃れるように目を伏せました。


 「どうしてもこうしても!
 いい?『絶望しない』こと!わかった??」
 と、ユイは訴え続けます。


 「…私にはムリよ」


 「どうして?」


 「…日常が壊れていく感覚よ… ユイさんも分かるでしょ?きっとあの“メール”だって“夢”と関係があるの…」


 “メール”…

 つまり…
 『ゼウス・サイン』です。


 「メール?」
 携帯電話を持っていないユイは、ゼウス・サインの存在を知らなかったのでした。

 「そう。あのメールはきっと“竜”の仕業だと思う…そう直感するわ…!」


………

 「……だったとしても!」
 ユイはまるで接吻をするかの如く、美幸さんの両肩を掴み、顔を上げさせました。