「……」
 ユイは縁石を降りました。


 「…図星ですよね」


 「違うよ」


 「図星じゃないですか…」


 「……」
 ユイは反論を止め美幸さんを、深い穴を覗き込むような目で見つめます。


 「…何ですか…?」
 
と! 不意にユイの右手が美幸の左手へ伸ばされました。
 この前とは逆に今度は美幸さんが狼狽し、頬を染めました。
 「なっ、何です!?」


 「“夢”だけじゃないんだ」

 「えっ…どういう…」


 「“夢”だけじなくて、もっと“怖い事”があったの、昨日の夜には。しかも今も続いてると思う」


 「それって?」


 「上手く言えないけど…。けど、なんて言うか、夢はただの夢じゃなくて…現実の続きだったのかもしれないの」


 美幸さんはユイの手を振り解いて頭を抱えました。


 「そんな…!」

 しかしユイはそれを許しませんでした。


 再び、美幸さんの手を強引にとると、
 「でもね」
 と続けました。