「うん、見たよッ」


 「『見たよッ』って…」
 美幸さんはユイの、もはや豪胆といえる態度に戸惑ってしまいます。

 「ねぇじゃあ! “何の怪獣”を見たか、せ~ので言わない?」


 「えっ、えっ?」


 「せ~の!」


 『闇竜!』
 と、二人の口が合わさります。


 「あはははは!」


 「『あはは』じゃないですよ!二度も同じ夢を見るなんて、絶対、おかしいじゃない!」


 ユイは縁石の上を平均台の要領で歩きます。
 「そうだね!」


 「……」
 美幸さんは一瞬、悲しそうな表情を浮かべると次には少し憤ります。
 「どうしちゃったんですか!? 笑い飛ばしてしまおう、って開き直るのは分かりますよ! でも、それだってやり方があります!
 ユイさんのやり方はまるで、厭な事の腹いせに、私を独りぼっちにさせる意地悪をしてるみたい!」