『再誕』などという神々しいものではありません。

 ひどく日常的に…
 「…痛っつつ、何だったんだ? 夢か?」
 と、ある人は起き上がりました。

 「何かあったの?」
 「さぁ…」
 「嵐も過ぎてるし」
 「大地震でもあったんじゃね?」

 人々は銘々に目覚めると、まず自分達が安穏の中に居たうちに、いつの間にか半壊しているビル群を見、首を傾げました。

 携帯電話を持っていなかった数名のホームレス(と、美幸さん等の能力者)だけが事件の全容を知っていました。
 もっとも、後者は八課に懐柔され、前者はただの狂言として処理されるわけですが……。

 「どうするよ?」
 「ニュースとかは?」
 「ん…。あ、いや、携帯イカレてるし」
 「じゃあ、電車動いてるん?」
 「いや、駄目だって。携帯がイカレて――」
 と、彼が携帯の画面の覗き込んだとき、不意にメールの着信があったのです。
 「あ! あれ、生き返った?」

 「お、マジだ」
 いえ、それは彼だけではありませんでした。
 半径10キロ圏内の、全ての人間が同時にそれを受信していました。
 

 画面にはこうあります。