「………」
 ユイは独り、地面に倒れ込んでいました。 

 掴んだ指に神経を集中していたせいか、ユイは自分が地面に転がっている事にしばらく気づきませんでした。

 決して掴んだ指を離したわけではありません。
 そうならば……
 もし離していないのならば、少年も一緒にここにいるはずなのに……。

 ユイは独りきりでした。


 ユイは茫然自失、頭上の穴が塞がっていくのを見送っていました。
 そうするしかなかったのです。

 ―いったい、なぜ…―
 ―なぜ、竜一はユイの手を取らなかったのか―
 その問いを永久に飲み込んでいくかのように、ゆっくりと穴は塞がって、辺りはまた静寂に包まれました。