ジャンプは一瞬です。

 その一瞬の間に、ユイは自分の指の突端が何かに触れたのを感じました。そしてさらに、それを掴もうとしたとき、それが何かから抜け落ちるのを感じました。

 「――!」
 ユイは、人差し指と中指、そして薬指で“それ”を挟んでいました。

 絶対に離すものか、と少女は思いました。
 現に、伸ばしきった三本の指は驚くべき力で、“それ”を挟んでいました。

 しかし、それは彼の手ではなかったのです。

 
 それは、虚しい試みだったのでしょうか?
 儚くも掴んだ“それ”は彼の指から抜け落ちて……