「――!?」と……
 
 ユイは気づきました。

 ユイの真上、3メートルの辺りに蜃気楼のような空気の歪みが浮いていたのです。
 
 いえ、それは空間の歪みでした。理由などなく、彼女は確信しました。
 「……竜一!!」
 ユイは迷いなくそう叫び、痛みの残る左腕を伸ばします。


 それはエネルギーの衝突で彼が叩き落された、虚空間の穴…!

 「先輩ーッ!!」
 ユイは激痛の走る体を目一杯に、その穴へと手を伸ばします。

 3メートル。
 それは、ドラグーンならば取るに足らない微々たる距離でした。


 しかし今は…届かない。どんなに手を伸ばしても…
 「…んんっ…!!」
 届かなかったのです。

 その距離は、宇宙の端っこより遠くて……