「ごめんね…ごめん」
 ユイは言葉を詰まらせました。もう次の言葉は出てきませんでした。
 

 
 ユイの体は、ついにその星と触れる距離に至りました。

 ―― どこに降りればいいのか?
 
 別の宇宙から旅をしてきた彼女にとって、その星は見ず知らずの土地でした。見た事もない形をした大地が海に浮かんでいました。

 けれどもユイは迷いません。

 「……せめて…」
 心の命ずるままに、彼の声のもとへ進むだけです。
 「せめて、呼ぶね…。呼んであげる、アナタ名前を……!」

 ユイは涙を拭って微笑みました。
 そしてその体は、“竜の形をした島”の、ちょうど“鉤爪の付け根”に降りていったのでした。

 「呼んであげる、“先輩”なんかじゃなく……」

 「呼ぶね、アナタの名前……」

 
 ―― 『竜一』 ――