ユイは高く跳躍しました。
 『地球』の重力という差し伸べられた手をとるように…。
 
 宇宙を蹴って、一直線にその星の彼のもとに…。

 そして何よりも彼女導くのは、その声だったのでした。

 
 「早く…早く……」
 ユイにはもう、宇宙の大地を蹴る力はありませんでした。ただ、彗星のようにゆっくりと自転しながらその星に引き寄せられていくだけです。
 
 「先輩…行かないで…!」
 ユイは青い星に手を伸ばします。けれど、今更、どんなにもがいても速度は変わる事はありませんでした。
 音速の数百倍で進んでも、尚も、もどかしい。
 「待ってて。急ぐから…急いでいくから……!」
 
 その間に『月』は何度も『地球』の周囲を行き来しています。

 一ヶ月が二ヶ月になり、二ヶ月が三ヶ月になり……