「自由?」
 
 「もしアナタが望むなら、運命は変えられる」

 含みが多すぎて、ユイにはさっぱり分かりません。
 「運命? 何かあったの?」
 去っていく『土星』をユイは追おうとしました。

 が、そのとき…
 「だめ!」
 『土星』は厳しく言いました。
 「アナタ次第で、“『2年』早く会えるかもしれない”のよ!」

 ―『2年』早く会える?
 ユイはその言葉を頭の中で反芻しました。


 「『2年』早く生まれたかった、って言ったでしょ?」
 『土星』は慎重に言葉を選びました。諦めるのも彼女の自由である以上、宇宙の理として強要する事はできないのです。
 「疲れて眠ってしまった分だって取り戻せる。“2年早く彼と出会えれば……”」


 ………

 ユイは『土星』の去った虚空に漂って、必死にそれを思い出そうとしていました。ゆっくりと自転している彼女は、ふと、遠くに輝く星に目をやりました。
 
 太陽でした。 それは巨大な“光球”……

 「2年…早く生まれ……?」
  
 
 ―― !!

 ―― そうだった!!