ユイは呼吸さえままならないほど、疲弊していました。
 心が「急げ」と命じるのは感じていても、もう体がどうにもならないのです。

 しかし、よく歩いてきました。
 唯一の指標である太陽は、随分と大きくなっていました。
 

 「ちょっとだけ…」
 ユイは波の静かな砂浜を見つけると、そこに横になりました。
 眠りを妨げる微小惑星という漂流物が来ないその帯状の虚空に、彼女はうずくまりました。
 
 …………
 ………
 ……

 ――一2年が経っていました。


 「起きて。起きないと」

 そんな台詞がユイを目覚めさせました。
 「ふぇ…?」
 それは、また懐かしい声でした。
 
 「昼寝している場合じゃないわ」