――ここは太陽系だった!


 ユイはもがき始めました。
 「――っ! 動け!」

 意味は分からないけれど、忠臣のようにユイの目覚めを待っていた『海王星』は、急げ、と言いました。

 「動けぇぇ!!」
 頭で考えるよりも早く、ユイは全身に力を込めていました。

 その言葉は不思議なほどの焦燥を彼女に感じさせていました。意味こそ解せないながら、急がねば、とユイは駆り立てられていました。直感でした。


 …しかし、走り出そうにも、体が言うことを聞きません。

 “生まれたて”の体は、先ほどまでの体育座りのまま凝り固まって、どうにも筋肉が活性しないのです。

 全身が、慣れない正座の痺れの、十倍も悪化させたような状態でした。


 「んっ……う、うわっ!!」
 2、3歩進んではまた、ユイの膝は笑い、とても上半身を支えようとしません。