私は『藤間ユイ』。
 私は、その名前を失わなければ、私は、大丈夫……

 そしてユイは、
 「イグニス……」
 と、その声に名を与えました。
 
 「ありがとう、『イグニス』」


 【!!】
 そうだ、私は…
 と息を呑んだのは、今度はイグニスの番でした。 


 ……… 
 ユイは涙の衛星を従えて、ゆっくりとケンタウルス座の方へと流されていきました。

 (星の一部になるのかな? ケンタウルス?シリウス?)

 (いえ、それとも自分が星に?)
 
 (でも大丈夫だよ。 
 いつか星になっても、この記憶があれば…… 私は大丈夫)
 
 しかし
 ユイがそう心に呟いた、その瞬間…!

  
 【いや、そうではない…】
 イグニスは静かに強く言いました。