「照れるな」

そう言って、顔を赤くした。
可愛いんだけど!!

笑っていた時…
とうとう病は進行を始めた。

「…結衣?」

口から血が出た。
え?

ふらっと私は、倒れた。
宗吾さんの声が聞こえる。

「結衣!」

必死な声が聞こえる。
宗吾さん…

私は気を失った。
大好きな人の声が途切れた。


暗闇の中、私は歩いてた。
勝手に足が進む。
嫌だ。
それ以上行けば、帰ってこれないよ。

なのに身体は、止まってくれない。

諦めかけた時、声が聞こえた。

「結衣」

優しい声だ…
宗吾さん?

「結衣」

美奈?

「結衣」

お母さん、お父さん、お姉ちゃん?


声が…皆の声が聞こえるよ。

なんで?

私は、止まった。
そして目を閉じて、ゆっくりと目を開けた。

目の前には、皆がいた。

「結衣!!」

「結衣…」

「結衣ぃぃ」

皆が私を抱きしめた。
良かった。
私…生きてる。

私は、言おうとした。皆の声が聞こえたって…

口を開いた。
…?

あれ?声…出ない。
「…ぁ…」

小さな声しか出ない。
嘘でしょ?
ねっ?お願いだから出て。

私は、必死に声を出そうとした。

だけど…

「声帯も、やられたかもしれない」

お医者さんが、看護師さんに小さく呟く。

…私…どうなるの?