「くっそ…」

なんで?遊馬は、喧嘩は強いんだよ?
なのに…なんで倒れてるの?

「隙があるな」

「…ふざけんなよ…」
遊馬は、走り去った。
え?もしかして…勝ったの?宗吾さん。
「宗吾さん?」

「やっぱりまだ、身体は鈍ってなかった」

え?どういうこと?
「俺の入院前の仕事聞きたいか?」

「うん」

聞いたことがなかった。聞いたら悪いような気がしたから。
宗吾さんから話してくれるのを待とうと思ったから。

「俺な…極道の組員やってたんだ」

極道?組員?
頭がついてかないよ。
だって、入れ墨だってないよ?
小指だってあるよ?
それに極道なら、もっと怖いんじゃないの?

「極道全員あるってわけじゃねぇんだ。小指も切らない。怖いツラしてる奴らばっかじゃない」

どうやら私が知ってる極道の世界は、多少違うようだ。