「はいっ!これ鍵っ!」 相羽に自転車の鍵を渡して、荷台に座る。 「はやく、はやくっ」 夕ご飯を急かす子供のように、相羽の肩を叩き続けた。 「2人乗りは禁止だぞーっ!!!」 沖村の声が、フェンス越しに響く。 相羽は立ちこぎして、あたしはサドルを掴んで、猛ダッシュで逃げた。 「俺ん家行くけどいーよなっ?!家近いしっ」 「あー、うん。いーよーっ!」 風を切り抜けて、あたしたちは会話をした。