「よいしょっ」


勉強道具が沢山入ったかばんを
しょって、校門から出た。


「知ちゃんもういないのかな~…」


辺りをきょろきょろと見回していると、
遠くに小さい栗色頭の男子を見つけた。


「あっ!ターゲット発見!!」


小さな声で喜ぶと、私は電柱などに
隠れながら、知ちゃんを追跡していった。


15分後、知ちゃんが止まったので、
私は勢いよく電柱にしがみついた。


着いた所は…


「………家?」


それは知ちゃんの家だった。


家は、廃屋の一歩手前まで行きそうな
所までの古さだった。


「ここが知ちゃんの家か~…」


知ちゃんが家に入ると、いきなり
その家が騒ぎ出した。


「知ちゃん!お帰りーっ!」


「今日の飯はー!?」


「作って作って~!!」


と5歳くらいの3人の声が、
それぞれ耳に響いた。