7月の始め。


セミが今日は余計うるさく聞こえた。


「ぎゃわ─!!おーくーれーるーっ!」


腰までのストレートを揺らして
朝から全速力で走っている高校生は、
速水茂香(はやみもか)。


つ、疲れた…っ!


でも、今日遅刻したら20枚反省文
書かなくちゃいけないっ!!


といっても、セーフな可能性は低かった。


「か、階段きつい…!!」


この星華学園は、最高で7階まで
ある。私は5階だった。


よっしゃ、後1回…!!


階段を曲がったその時、目の前が
真っ暗になった。


「はっ!?」


「…い…ってぇ」


「ああ゜っごめんなさい─!!」


それだけ言うと私は再び教室へ
向かった。