「捨てたつもりなんてないのに。


――母さんはもともと反対だったんだ。

オレが魔道士めざしてここに入るなんてことはな」


「……なんだって?」


オレは驚いて言葉を失ってた。



魔道士はみんなに尊敬される職業だ。

そんな親がいるなんて、今まで考えたこともなかった。


だれもが誇りを持って息子をここに送り出してる。

そこを疑いさえしなかった。



「でも、どうして?」

「……オレは一番上だしな」


ルカはぽつぽつと語りだした。


「母さんはオレに家業を継いでほしかったんだ。

弟妹たちはまだ小さいしな。


……オレが家を捨ててここに入ったことは、母さんにとっては裏切りなんだよ」



(裏切り……だって?)