するとガランッと音を立てて
当たり前のように出てくる缶に
ビクッとして下を見た。


それにも思わず笑う。
何だか遠い昔から
タイムスリップしてきました
みたいな人をリアルに見てる様。


にしても
記憶喪失といっても
ここまで忘れる
ものなのだろうか。


僕は自販機の下の口から
ジュースを取ると留乃に手渡した。


留乃は
「すごーい!!!」
とはしゃぐ。そして
「ありがとー!」と言う。


昔の留乃からは
全く想像できない様な
ありがとうだった。
裏もなさそうで
嫌みったらしくもなくて
自然なありがとう。