「留乃‥!」


病室を開けると
留乃がベッドに腰掛け
びっくりした顔で
こっちを見る。


「留乃‥」


僕は留乃に駆け寄り
留乃の前にしゃがみ込み
「留乃‥良かった、目覚めたんだね。」
また忠犬振る。


可愛がってよ、ねえ
って尻尾振る犬みたいに。


撫でて
撫でて‥と。


しかし留乃は
ぽかーんと僕を見つめたまま
動くこともなければ
喋ることもない。


「留乃‥?」


留乃は瞬きを
繰り返し僕をまじまじと見る。


「どうした‥?」


何だか
嫌な予感がした。