「あら、久しぶりね…。目、ものもらいか何か？」

散歩の途中の親子が声をかけてきた。

茶色の髪をリボンでちょんまげに結った幼女シオンと、その母のマリアだった。

このまえ、この親子に会ってから、ほんの一週間ほどしかたっていないというのに、ずいぶん長い時間が経過したような気がした。

「ああ、いえ…。ちょっと眩しくて…。でも、ほら、平気です」

ジョーは、左目の眼帯を外して、シオンに笑いかけた。

その瞬間、ジョーは驚いて目を見張った。

ついこの間まで、この幼女に未来はなかった。

ドクロの白い顔とぽっかり開いた暗い眼窩がはっきりと見えていたのだ。

だが、今は、この幼子が老婆になるまでの一生分の表情が、もの凄い情報量で重なって見える。

勿論、最後は、白いドクロだ。