「最後の晩餐が鍋って…そういうのもアリなのかしら?」

箸に刺したニンジンをかじりながら、フランシーヌは言った。

フランシーヌは箸をうまく使えない。

だったらフォークで食べればいいようなものだが、鍋にフォークでは美意識が許さないのだそうだ。

「最後だなんて、決めつけるなよ」

ジョーが、ぐつぐつ煮える鍋から不思議な物体を箸でつまみ上げる。

眼前にかざしてマジマジと見た。

「はんぺん?」

おでんじゃないので、そんなものは多分、入ってはいない。

「あー…。あっ…、それね…。それ、スポンジ…だと思う。多分」