ジョーは、クスッと笑った。

「パパに会いに行く理由、できたな」

サクランボ色の唇をツンと尖らせて、フランシーヌは上目遣いにジョーを睨んだ。

「お節介。そのために、わざと話したのね?」

「さあ、どうかな」

フランシーヌは、ジョーの顔をのぞき込んだ。

「なにか欲しいもの、ある? ついでに買ってきてあげる」

「だから親父さんのところに戻れって…」

フランシーヌは、悪戯っぽい瞳になった。

「あら、さっき、あなたが言ったじゃない? 最期くらい、愛する人の側にいるべきだって。あたしも、そう思うわ」

一瞬、答えに詰まって、ジョーは豆鉄砲を喰らった鳩のような目で少女を見上げた。

「何でもしてあげる。欲しいもの、言って」

にこにこと、フランシーヌは促した。