「は…ははは…」

ジョーは、低く笑った。まるで、自嘲の笑みだった。

笑顔のまま、ジョーは、花ばさみを握った少女の右手首を、ぐいっと掴んだ。

「えっ?」

少女が、驚いて体を引こうとしたのを許さず、ジョーは、そのまま細い腕を力任せに引き寄せた。

「なに? うそっ…!」

抗う少女の手に握られた無骨な花ばさみの先端が、ジョーの左目に吸い込まれる。

「だめ! ジョー!」

一瞬、ジョーは、自分がなにをしたのかわからなかった。

ただ、顔面が燃えるように熱かった。

頬を、生ぬるいものがだらだらと流れ伝って、気持ちが悪かった。

「ジョー! ジョーっ!」

痛みよりは灼熱感が顔中に広がった。