「辛いなら、目を閉じていればいい。あたしのこと子供だって言うけど、あなただってまだ子供なのに、なんでそんなに諦めてるの? その諦念は目のせいなの? その目が希望を語ることも許さないの? だったら…」

コトン。

ジョーのもたれていた出窓に花ばさみが置いてあった。

それを手に取り、フランシーヌは無表情に言った。

「あたしが、楽にしてあげましょうか?」

ジョーは、目を開けた。

視線が、その、無骨な形の花ばさみに吸い寄せられる。

「楽に?」

「目を閉じている勇気もないんでしょう? あたしが、その目をえぐってあげるわ」

フランシーヌは、花ばさみを両手でしっかりと握りしめ、ジョーの顔に向けて突きだした。

猛禽類のクチバシを思わせる、鉤に曲がった先端が、鈍く光る。