映像の中の少年が、悲鳴を上げ、母を呼び、必死に手を伸ばす。

その、母を求める手が凶弾によって弾け、バラバラに粉砕された。

まるで、血飛沫のひとつぶひとつぶが、スローモーションで目に焼き付くようだった。

「あ…!」

ジョーは、陰惨な殺戮劇が繰り広げられる画面に向かって、思わず身を乗り出した。

「ここ、なくなります…。多分、あと、数日くらいで」

ジョーが画面で見ているのは、戦火に巻き込まれた人々の余命ではない。

建物や土地の風景がどんな未来を持っているのかを確かめているのだ。

「重要拠点があるなら撤退したほうがいいですよ。子供たちも逃がしてあげたいな…って、通信は使えないのか…。この感じだと、ヘル・ドライブか何かの超大型爆弾かな?」

「核の可能性はあるかね?」