「早速だが、君に見て貰いたいものがある」

軍務総長は、いつでも単刀直入だ。

無駄な挨拶などしない愛想のない男である。

だが、そのほうがジョーとしてもつき合いやすかった。

たとえば、ウエットな性格の相手だと、あまりに悲惨な状況を左目が関知してしまった場合、言葉を選ぶのに苦慮するが、一切の感情を表さないこの男が相手だと、見えた映像をそのまま告げることができる。

ジョーは、黙って部屋の隅に設置されているモニターの前のソファに座った。

「先刻、戦略衛星に侵入することに成功した。連合国の『イスカ-13』だ」

「13? キリスト教圏なのに、不吉な番号使うんですね…」

モニターには、実像レベルに解析された地上の映像が映り込んでいた。

逃げまどう女性と子供たちが、無惨に撃ち殺されていく。

それは、遙か天空から臨む音のない地獄絵図だった。