ジョーは、ひるまず、続けた。

「誰の命令だか知らないけど、反戦運動家を抹殺してどうなるんだよ? 違うだろう? その思い上がりとご都合主義が、人類をここまで追い込んだんだ!」

ジョーは、わずかに口角を上げ、不敵な笑みを漏らす。

「いーこと教えようか? あんた、死相が浮かんでるぜ? もちろん、はったりなんかじゃない。オレの目に映るあんたの姿は真っ白なドクロだ。誰かの命令でそんな物騒なもの振り回してる間に、あんたも生き延びる方法、考えるんだな!」

狙撃者は、黙って銃を下に降ろした。

殺気が遠のいたのが、ジョーにもわかった。

狙撃者は、ジョーに背を向けると、そのまま通用口から姿を消した。

「…もう、手遅れかもしれないけどな…」