ドサッと地面が鳴る。

フランシーヌを腕の中に庇うように抱いたジョーが背中から倒れ込んだ。

彼は、少女を抱いたまま、わさわさと繁茂する紫蘇の葉の陰に転がって身を伏せた。

「…んでだよ…!」

ギリッと歯を軋らせて、ジョーは腕を突っ張る。

庇った少女から体を離した。

空調が作る風で紫蘇の葉が揺れている。

その揺れる隙間から、銃を構え標的を捜す不審な男の姿が伺えた。

ジョーは、グッっと拳を握りしめると静かにその場で立ち上がった。

まっすぐに、狙撃者へ体を向ける。声を張り上げた。

「オレはジョー・イスルギ。用があるならオレが聞いてやる!」

「邪眼のジョー…」

狙撃者は、ジョーのことを知っているようだった。

彼の名に少し逡巡したが、ゆっくりとジョーに照準した。